噺家の林家つる子は群馬の名門・県立高崎女子校卒 中央大落語研究会との衝撃的出会い
「華があり、今もっとも客が呼べる噺家の一人」
女性落語家の林家つる子(38)を手放しで称賛するのは寄席の関係者だ。昨年3月、12人抜きで真打ちに昇進。自分より入門が早い先輩を追い越しての“抜擢真打ち”は女性では初である。
大学に入るまで、落語はまったく知らなかった。まともに噺を聞いたことすらなかった。高校は群馬県立では前橋女子と並ぶ難関の高崎女子。高崎市で生まれ育った優等生のつる子がこの名門校に入学するのは、ごく自然な流れだった。部活は演劇部。女子しかいない中で、男役をやった。コミカルな役が多かった。「落語もさまざまなキャラクターを演じるので、演劇部での経験が役に立っている」と寄席関係者は話す。
中央大文学部に進学。サークルが開催する新入生歓迎イベントに顔を出したのがつる子の人生を決めることになった。演劇系のサークルに入るつもりだったが、そこにたどり着く前に男たちに囲まれた。落語研究会の部員たちだった。そのまま部室まで連れていかれ、有無を言わさず入部させられてしまったのである。
何も知らない世界に飛び込んだつる子は水を得た魚のようだった。演出家と役者の役割が分かれている演劇とは違い、落語はそれらをすべて一人で行う。その魅力にどんどんはまっていった。